選手インタビュー第3弾。今回はDF29柳下大樹。
今シーズンリーグ戦は24試合に出場。DFとして出場も3得点の活躍。
加入当初から、柳下は言い続けた。
「石さんを漢に」
恩師への恩を返すため、八戸に来た。
そんな中、9月の試合で右膝前十字靭帯損傷の大怪我。
今シーズンの出場は叶わなくなった。
だれよりも悔しい想いをしているのは、彼だろう。
しかし、昇格を目指し、この漢はまだ闘い続けている。
■ポジション:DF
■背番号:29
■生年月日:1995年8月9日
■出身地:埼玉県
■身長/体重:180cm/74kg
■経歴: 高島平SC→浦和レッズJrユース→帝京高→松本山雅FC→カターレ富山
X:@279Dai
Instagram:@yagishitadaiki
-加入から意識していた部分はありますか。
八戸に移籍してきて、八戸の選手の特徴だったり八戸のチーム全体の空気感とか、良い部分だったり足りていない部分だったりも色々と見えてきた中で、自分が入ったことで今まで八戸になかった部分を出したいなと思ってやってきていて、プレー一つ一つの止める蹴るにこだわりながらシーズンをスタートしました。試合をしていくにあたって壁にも色々ぶつかりましたし、自分の中で一つ一つクリアしていかなければいけないと考えていました。その中でも一番は石さん(石﨑信弘監督)という存在をJ2に連れて行きたい、一緒に行きたいという想いで練習からやってきました。
-ヴァンラーレ八戸はどのような印象ですか。
一言で言うとめちゃくちゃ真面目。みんなが真面目。
-これまでも新加入選手は「真面目なチーム」と話していました。具体的にはどういった真面目さがありますか。
監督、コーチが言ったことをしっかりとこなす。言われたことをしっかりとやる。それが良いことではあるんだけど、逆に言えば自分の味を出すというか、応用するというような、自分で感じ取って違った自分の良さをプラスαしていくという面は欠けていると感じていました。ただ、言われたことをしっかりとやるというのは、サッカー選手も全員が全員出来ることではないので、それは八戸の選手はすごいなと思いました。
-良い面とは反対に足りていないということにもなり得ているということですね。
そう。「こう言われたけどこうしたほうがいいのにな」とか、自分の意見を出したほうが良いと思うこともある。ただ、どんなことでも良い面と足りない面があると思うし、それが悪いわけではない。自分はそういうのを出していくタイプだったので、そういう点では新しい風を入れられたことはよかったのかなと思います。
-加入当初から石﨑監督「石さんを漢に」と口にしていました。石﨑監督に対しての想いを教えてください。
富山の時から一緒にやらせてもらっていて、自分にとって石さんは大きな存在。一言で言えば人間の器がでかすぎる。自分のことをすごく理解してくれているというのも感じているし、そういう人をなんとしてでも喜ばせたいという想いもあるし、これだけ信頼してもらっていたからそれに応えたいというのも、今までの中で一番あるのかな。それぐらい信頼しているので、どういう指示を受けても疑念を持たずに全力でプレーができていると思います。
-今シーズン決めたゴールの中で、DFながら最前線にいた5/6岩手戦のゴールは印象的です。
石さんも好きにやれやみたいに言ってくれていて、でもしっかりチームの決まりごとは石さんは落とし込んでいる。そこはしっかりと守りつつ、自分の味、良さを出していく。それが良いチームになっていくことに繋がるんじゃないかと思います。一人一人が、自分が持っている特徴を出しつつ、決まりごとはみんなで徹底してやっていく。あのゴールの時はチャンスだと思ったから前にいたけど、それは理解してくれていると思う。終わってから、「なんでお前あそこにいたんや」とは言われたけど。(笑)
-年齢的にもチームの中で中堅です。これまでと比べて変わったことはありますか。
今まではそこまでチームの状況のことを考えるとかはしなくて、自分が出て活躍することを考えていました。去年あたりからチームのことも考えるようになったし、流れが悪い時にどうしたらいいかというのは試合中も考えるようにしています。まだ子供の部分もあるから試合中に熱くなりすぎる部分もあるので、もう少し大人になって抑えるところは抑えていかないといけないなと。
-今シーズン何度か、選手間で言い合いになる場面がありました。
バトってたね。(笑)たぶんそういうのはこれまでの八戸になかったんじゃないかな。勝った後もあった。それは度が過ぎていたら良くないし、自分も嫌いで言っているわけではない。チームを勝たせたいから求めるし、そこは軸をぶらしたくはない。チームが勝ちたい、おれも勝ちたいというのを前提に、言うところは言うようにしていたかな。
-プロだからこその要求ですね。
そういう面ではチームとしても良くなってきていると思います。正直、最初はぬるいなと思ったから。練習でも何も言い合わない、要求しない、要求しても返さないというのがあって、なんで練習中から要求しあわないのかなって。サッカーをしていて、練習中でもチーム内でのバトルで、本当に真剣にやってるのかと。シーズンが進むにつれて、練習から選手間の要求も出てきたし、質の高い練習になっていると思います。
-試合以外でもサッカーについてコミュニケーションを取っていますか。
めっちゃ話すようにした、今年は。だからほかの選手も自分のことを理解してくれていることが多かった。話してみなければ分からない部分もあるし。ヅミ(MF5稲積大介)とか、私生活でも一緒にご飯に行っていたから、ヅミとも一回言い合いになったけど別にギクシャクとした関係にもならないし、終わってからも普通にご飯に行って、お互いに思っていたことを話したりとか。それでも良いと思っています。チームだし、それがサッカーだし。
-仲の良いMF61安藤由翔選手も色々な選手とコミュニケーションを取るようになったと話していました。
それはとても感じる。由翔くんはほかの人に近寄らないから。由翔くんなりに考えて行動していると思う。自分も今年は選手とご飯に言ったり、話す場を作るように意識しています。ただ若い選手はあんまり積極的にご飯にも誘ってくれないので、色々考えています。(笑)
-そんな中、9月21日の試合で右膝前十字靭帯損傷の負傷をしました。その瞬間はどうでしたか。
3年前に同じ怪我をしていたので、やったなと。またかと思ったし、やった瞬間にもう駄目だと思ったから、近くにオト(MF18音泉翔眞)がいたからそれも伝えて。その瞬間は頭が真っ白になりました。すぐには気持ちは切り替えられなかった。ただ3年前に左脚をやって今は全く問題ないから、また治して頑張るかと、今はそう思っています。
-残り2カ月というタイミングでの負傷でした。相当悔しい想いだったのではないですか。
めっちゃ悔しかったし、3年前もちょうどこの時期だった。10月の後半ぐらい。その時の監督も石さん。その時はたしか首位にいたのかな、J3で。昇格も現実的になって、これからというタイミングで怪我をして、そこから連敗もあって上がれなかった。今回もこの大事な時期で、プレーオフに行けるかどうか、チームがJ2昇格に向けてここからという時にこの怪我だから、正直めっちゃくちゃ悔しかった。なにより石さんに申し訳ない、チームに申し訳ないという気持ちでした。
-リハビリ中かと思いますが、現在の状況はいかがですか。
順調です。リハビリもうまく進んでいる感じです。装具をつけてですが、最近歩けるようになってきました。
-試合を観て感じることはありますか。
選手は良いパフォーマンスをする、次はより良いパフォーマンスをすることを考えて1試合1試合やっているけど、観ていたら今日ちょっと動きが遅いなと感じるときもあるし、自分だったらこうしたなとかを考えながら観ています。終わってからも何人かと、ここ良かったよねとか、なんでここでこういう動きをしたのかとか話しています。客観的に試合も観れているし、自分がプレーをしているときには気付けなかったこともあった。
ただ、ほかのチームの試合は今は全然観たくない。自分のチームだから観れているけど、やっぱりやりたいし、この時期はすごい楽しいだろうなって。自分はこういう緊迫したというか、昇格争っているプレッシャーの中の試合が一番好きだから。だからめっちゃやりたかったなって。
-選手たちに伝えたいことはありますか。
やっぱり試合に出ることって、選手全員の代表、クラブの代表として出るということ。そこにプライドを持って闘って欲しいかな。なんとしてでも勝ってほしい。あとは楽しんでほしい、こういう時を。
-最終戦は全緑MISSION4000として、4000名の来場を目指しています。
鹿島戦も4000人超えたと思うけど、4000人入ったらあれだけ良い雰囲気になる。本当に4000人入ってほしい。
-選手にとっても入場者数や応援、スタジアムの雰囲気は重要ですか。
超大事だよ。やる気、モチベーションが違う。その雰囲気だったらあと1点守れるし、あと1点取れる。あと1歩走れるし、あと1秒頑張れる。もちろんプロとして選手は自分たちでコントロールはしているけど、それ以上にあの雰囲気は気持ちも高まるし、試合にも影響してくる。
-サポーターへのメッセージをお願いします。
怪我してからも横断幕を張ってくれていたりは映像でも見て嬉しかったし、SNSを通じて色々な方からコメントもいただいて、それも励みになっています。
サポーターの力って必ず選手の力になるし、今はプレーできていないけど、八戸にかかわる全ての人とJ2昇格を掴み取りたいなと思っているので、引き続き応援よろしくお願いします。
聞き手:【広報】野辺地